「お母さん......、ありがとう......、
私、この家の子供に生まれて良かった。

もし、もしも、この先、不幸になっても一緒にいたいくらいに心の底から好きになれる人ができたら......。

どんな問題があっても諦めずにがんばるから、だから応援してくれる?」



応援する、の一言にずっと我慢していた涙がとうとう我慢しきれなくなる。



「この番組、感動するね。
ホントに泣けてくるよ......」



テレビなんて見てもいない、聞いてもいない。

だけどまだ強がりを言ってから、隣のイスに座っているお母さんを横目で盗み見ると。



「ほんとに良い番組ね......、お母さんも感動して泣けてきちゃった」



なぜかお母さんも泣いている。

テレビを見ると、若手芸人が次々に持ちネタを披露していた。
こんなのどこに泣く要素があるのか分からない。


お笑い番組を見て、泣いている母と娘。
考えたらものすごくシュールでおかしくなる。

思わず声を出して笑うと、お母さんもつられて笑って、二人で泣き笑いした。