「うぇっ......気持ちわる......」


「えっ」



口の中がおえってなって、思わず気持ち悪いと言ってしまうと、男一番がショックを受けていた。


違うんです、ごめんなさい。
あなたのキスが気持ち悪かったとか、問題があったとかいうよりも。

たぶん私が飲みすぎたんです。
それで口の中が不快になって、おえってなったというか。


好きな人じゃなかったから......という説は、酔ってない時に試してみないと分からない。

いや、試そうとは思わないけど。


初めて会った人とキスしてしまったというよりも、さっきの発言はさすがに申し訳なかったということにショックを受ける。

キスしたことにもショックを受けるべきなんだろうけど、なんかもう......。
おえってなるまで、飲んだ自分も嫌。

恥ずかしいし、いたたまれないし、もう帰りたい......。



「すみません。飲みすぎて体調悪いみたいなんで、帰ります！

先輩、また誘ってください」



盛り上がったり、急に帰ったり。
酔ってる時ってテンションの上がり下がりが激しい。

このままここにいても、もう楽しめる気がしないし場の空気を壊しそうなので、帰った方がいいよね。



「危ないから送るよ」


「いえっ！大丈夫です！
ホンとに大丈夫なので、失礼しますっ」



男一番に送ると言われたけど、それをふりきって孟スピードで店の外に出る。