「それと、」



今まで穏やかな表情をしていたケンちゃんが、少し表情を引き締めたので、何を言われるのかと私にも緊張が走る。


お互いに緊迫したなか、ケンちゃんは一呼吸おいて言葉を続けた。



「大学始まってから、暁明に会ったよ。
だいぶ落ち込んでた」


「へえ......」


「へえ、ってお前な。
美月の彼氏だろ?」



何で落ち込んでるのか、聞かなくても分かりきったこと。

どう考えたって私のせいなんだろうけど、だからと言って何を言ったらいいのか分からない。


DVDを握りしめたまま、手も口も止まってしまった私とは反対に、ケンちゃんは話を続けた。



「本当に良かったのか?
自分のしたことに後悔してるんじゃないの?

後悔してるんだったら、」


「もう、終わったことだから......」



ようやく発した声が震えているのが自分でも分かって、情けなくなる。


後悔してるから、だから何?
後悔したところで、私のした選択は消せない。


もしも暁明が許してくれたとしても、親の反対が消えるわけでもない。

結局は、何も変わらないもの。