十分、十分だよ。
たとえ一緒にいれなかったとしても、一緒にいたいと、そう願ってくれただけで十分だよ。

それ以上何を望むの。


少し前までは今だけでいいと思ったのに、どんどん欲張りになっていく自分が嫌になる。

望んではいけないことを望んでしまいそうになる。


もうだめ、これ以上は、本当にだめだ。


私はきっと暁明をだめにしてしまう。
あまりにも大好きで、離れたくなくて、依存しすぎてる。


暁明が親の意向に従うか、それは別としても。
彼の未来のための選択を、以前は確かに優先しようと思ったのに。


今はもう、もっと他に暁明を幸せにできる人が現れても応援できるか分からない。

ううん、絶対に応援できない。


いつだって離れる準備をしておかなきゃいけなかったのに、どうしてこんなにも好きになってしまったの。


一緒にいると、苦しいの。
まだ学生で結婚なんて何年も先のことでも、最初から未来がないと分かっているのは、辛いの。

自分が想像した以上に、辛い。
未来がなくてもいい、なんて言葉で言うほど、割りきった付き合いができるわけがなかった。