「美月ー!
例の印鑑の中国人とどう?恋の予感?」



グラウンドに落ちているボールをかごの中に集めていると、同じようにボールの入ったかごを持つ佐藤かおりに小声で話しかけられる。


彼女は同学年のマネージャーで、私とは外見も性格も正反対だけど、何でも話せる親友。


かおりはいつも元気、社交的で男女問わず友達も多い。

明るい茶髪のショートに見た目も派手な感じ。


それに対して私は初対面の人と話すのが苦手で、特定の人としか話さない。

かおりと同様オシャレは好きだけど、髪の色も暗めのロング、服装も可愛い系や大人しめが好きだから系統が違う。


一年生の時に初めて会った時は仲良くなれないなとお互いに思っていたけど、話してみると不思議と気が合って、今では一番の大親友。


もちろん暁明のことも全部話していて、印鑑のことがツボにハマったらしく、それからは印鑑の中国人、と親しみを込めて呼んでいる。



「印鑑の中国人ね......、だから恋とかないって言ったでしょ?
まだ先輩と別れたばっかりだし......。

それより今日の二年生飲み会行くよね?」