「美月......、美月。ネテル?」



のそのそとベッドの隣に入ってきた暁明に声をかけられて、いつのまにか寝ていたことに気がついた。

考えこんでたら、電気もつけっぱなしで寝ちゃったんだ。



「おかえり......、暁明。楽しかった?」


「ウン。それより、顔色ワルイ。
体調悪い?」


「......ちょっと体調悪いみたい。
たくさん歩いて疲れちゃったかな。
寝れば治ると思うけど。
だから大丈夫、大丈夫だから......」



心配そうに顔をのぞきこむ暁明に、大丈夫を繰り返した。

体調が悪いわけでもないし、全然大丈夫でもないのに。



「ホント?中国と日本は環境チガウカラ。
水が合わなかった?

オレも中国にきてから、体調ワルイ」



水が合わないとお腹壊すんだっけ......。
衛生面も違うんだろうし、にしてもアンタは中国人でしょう。

中国人なのに中国にきて体調悪くなるって。


笑うかつっこむかするところだったんだろうけど、そんな元気もなかったので、そうなんだと力なく答える。


そんな私を体調が悪いと捉えたのか、暁明はゆっくり休んでと言って、それ以上話しかけてくることはなかった。