「星野くん……」


その呼びかけには、誰も答えない。


「なんで、あんな事したの?」


「あの言葉はウソだったの?」


泣きながら、一人でそうやってつぶやいた時


ジリー


私の頭の上から誰かが来る音がした。


「心ちゃん」


「さのく……」


いつも、いつも悲しい時

私の所に来てくれるのは望んだ人じゃない。

優しい、優しい彼だった。


「へへ……っ佐野くん、また来てくれたんだね?

でもダメだよ?今は始業式の最中で……」


ぎゅうー。


私はまた、あの日のように佐野くんの温もりに包まれた。


その温もりは私の心を落ちつかせる。