ぶんぶんと首をふり、

星野くんは見捨てたわけじゃないと言い聞かせる。


「こんなに体冷やして、一人でずっと……

寒かったろ、もう待たなくていい

家に帰ろう」


「嫌だ、やだ……っ、星野くんは来るよ!

絶対来るよ……っえ、く」


涙が出て来たのは、もう来ないことを認めてしまったからだろうか。

それとも信じていた星野くんの裏切りを確信してしまったからだろうか。


佐野くんの抱き締める手が強くなる。


「心ちゃん……っ」

その声はとっても切な気だった。


「ちゃえよ……


待ってても来ない王子様なんて

捨てちゃえよ。」



佐野くんの小さい声が耳に伝わる。

そんな中、


私はこの日に

星野くんの姿を見ることは無かった。