その苦しさから逃げるように 走って屋上に行こうとしたら途中で 私は後ろから腕を掴まれた。 「星野く……」 これでもやっぱり期待して、後ろを振り向く。 「心ちゃん……」 ーー違う。 私の手を掴んだのは 星野くんではなくて、佐野くんだった。 運命の王子様。 おとぎ話は素敵過ぎて残酷だ。 夢を見てしまう。 素敵な王子様はきっと私を迎えに来てくれるんだと 期待してしまうからー。