誕生日は残業



外に出たあとも繋がれた手は離れない。

半歩前を歩く日野さんの背中は広くて。
あたしの心臓はどきどきしすぎていて、すっかり残業で最悪な誕生日と言うことは頭から消えていた。


「あの、日野…係長。今日は本当にありがとうございました。」

きちんとお礼をしていなかったことに、気づき改めて言うと、日野さんはあたしの方に振り返り。


「全然だよ。気にすんな。」


なんて笑顔で言うものだから、本当に心臓は限界寸前。