―――――――― あんなに山積みだった書類はあっという間になくなって、やっぱり日野さんは若くして係長を任されただけあるな、と思う。 「よっし、終わったな。 帰るぞ、送ってく。」 時計を見るともう2時。 さすがに送ってもらうには申し訳ない時間。 でも、そんな心中を察したのか、あたしが答える前に、席の前まで来て。 「嫌とは言わせないから。」と言って、あたしの右手を握ると、もう一方の手で、スーツケースを押し、強引に執務室を出た。