「ひまりが困ってるって言ってんだろうが」
「「……はい」」
「てめーらはさっきからなに言ってんだよ?」
「……」
「誰に何を言ってんだよ」
「………」
「情報与えてんの誰だと?」
「「……宇美です」」
情報!?
宇美って情報屋!?
いや誰よりも情報知ってるとは思ってたけど…。
与えるまでの域に達している!?
「翠、お前もだぞ」
「…マジか」
「ひまりにベタベタしやがって。ひまりはお前の彼女じゃねーんだ」
「それよりも…女っぽいしゃべり方したら」
「……はぁ?」
「う、宇美!もういいんじゃないかな!」
「…ひまりが言うならそうする。」
「ひまりちゃんありがと♪」
「誰が翠の為だって言ったんだか」
「あのさ、それだから彼氏と長続きしないんじゃないの?」
「……余計なお世話」
「あーそうでしたか!」
……宇美…。
宇美はずっと…痛かった?
苦しかった?
もう少し早く気づいてあげたかった。
“翠くんをずっと好きだった”っていうことに。
なんでこうなのかなー。
――本当にやんなる。
「ひまりー食堂行かね?」
「あ、うん!」
「抜け駆けするな、秦。」
「抜け駆け…?」
「いい加減気づけば?ひまりもさ」
「……っ///」
そう言って皐はあたしの頭をポンッと撫でた。
それだけで胸が高鳴って、顔が熱くなって、心が温かくなる。
何日ぶり…?
嫌もう何ヵ月か…。
「ひまり?顔、赤くね?」
「…あ、いや//!?」
「純粋ね〜ひまりは」
「誰かさんと違ってな」
「本当に“誰か”さんと違ってね!!」
「俺だって言いたいのか!?」
「他に誰がいんのよ!?」
「みんなある程度黒いわ!!」
「知らないわよ、そんなの!!」
また始まった。
宇美vs翠くんの戦い。
「行くか」
「うん」
「あー腹へった。朝飯食い損ねた」
「皐は今日ギリギリだったもんね」
「昨日遅くまでテレビ見すぎたー」
「俺なんか今日10何時間寝たわ」
「お前8時とかに寝てんの?」
「眠いときはな」
「……神だな。いや小学生だろ」
「それあたしも思った!」
だいたい宇美と翠くんを残してあたしたちは食堂とかに行く。
後から散々言われるけど秦と皐が、
“お前らがなんか始めっからじゃん。自業自得”
と冷めた目と声で言うから、黙る。
2人ともすごいなーと思う。