「はい、コーヒー」
「…サンキュー」
「皐、泊まってくの?」
「え、いや…どっちでも」
「お母さんとか心配しない?」
「俺ん家なら平気。両親揃っていちゃつけるからラッキーかもな」
そう言ってクスッと笑う皐。
あんな顔もするんだ。
皐は大切にされてきたんだなぁってすぐわかる。
「皐は幸せなんだね」
「え?」
「幸せそうな顔してるもん」
「…んなことねぇよ」
「いつか行ってみたいな。…皐のお家」
「は?」
「…ごめんね、友達として…」
「ちげぇーよ。…“いつか”じゃなくて明日にでも来れば?」
「え……?」
「彼女じゃん、ひまりは」
あぁ……また胸がキュッと苦しくなる。
嬉しいのに、苦しい。
行きたいのに、行きたくない。
矛盾ばっかりだ。
「……うん、明日行こうかな」
「おう…部屋きたねぇかも」
「皐は綺麗好きだから汚くないよ絶対」
「さぁー?わかんねぇじゃん?そんなん」
「絶対そうなのー」
「まっ、来てからのお楽しみ?」
「……っ////」
そう言って妖しく笑う皐にドキッとした。
意地悪な笑みも優しい笑みも、
全部が…あたしをドキドキさせるんだ。
あたしは皐をドキドキさせられてる?
――しない、かな。

