一途な彼女×浮気な彼氏


「…泣くな、大丈夫。」







その言葉に何度慰められたかわからない。

その言葉に何度助けられたかわからない。

その言葉に…何度勇気を貰ったかわからない。



―――秦の言葉はあたしの心を解きほぐす、魔法みたいだ。








「ひまりー」

「……っ?」

「ココア、淹れよっか?」

「うんっ…!」

「うしっ!」







またなにもなかったかのように接してくる。

そんな秦の優しさが、すごく嬉しい。

あたしの心は温かくなり、軽くなる。








「ひまりー離れてくんないとココア、淹れれない」

「……やだっ」

「…っ//しゃーねぇな。このまま作っか!」







一瞬、秦の頬が赤く染まった気がした。


……夕日の、せいかな?

窓から入ってくる夕日の光はあたしたちを温かく、オレンジの光で包む。

――影がぴったり、くっついている。







「…秦」

「ん?あ、味は問題ねぇよ?神の手だからさ」

「…ううん、味は心配してない」

「んー?」







手を止めて、あたしを見る。

――優しく、微笑みながら。







「秦の恋……叶うといいね」

「…あー、無理じゃねぇかな」

「……秦?」

「ひまりが俺にベッタリじゃさ♪」

「〜っ////」

「え?…なにその反応?」







いつもだったら、

“ベッタリじゃないもーん”とか返すはず。

…だけど、言えなかった。

頬が熱くなる。

あぁきっと、ぴったり重なる影を見てしまったからだ。