――ピンポーン……


秦だ。

直感的に、秦だと思った。






「…秦っ…」

「はぁ…ひまり!ちゃんと確認して開けろ!」

「…だって…秦だと思ったんだもん…」

「……はぁ。わかった」

「…早かったね」

「走ったからな」







秦は抱きついてもあたしを離そうとはしない。

いつからだろう…。

秦の腕の中が安心出来るとこになったのは。







「…入って、秦」

「おー。おばさんたちは?」

「仕事。」

「そっか。まっ、座っとけひまり!」

「え?」

「俺が超おいしいココア作ってやる」

「超って誰が決めたのー?」






秦といると自然に笑ってしまう。

秦の雰囲気かな?

顔の筋肉が緩くなる。

皐といると…強張ってしまうんだ。

緊張、してしまって。







「ひまりの笑顔が超おいしいって言ってんだよ」

「本当に?」

「マジだ。…ひまり〜じゃじゃーん!」

「あっ!!限定のイチゴマシュマロ!!」

「そ〜♪見つけて買ってきた」

「…秦っ!!」







イチゴマシュマロだぁ〜♪

マシュマロ大好きなんだよ〜!!

甘くてフワフワで…!







「マシュマロってさひまりに似てるよな」

「え?あたし?」

「そっ。フワフワで甘くて柔くて弱い」

「…うーん……?」






全然わからない。

違うと思う。

マシュマロに似てるだなんて…。







「フワフワして危なっかしいんだよ、ひまりは」

「なっ…ドジってこと!?」

「……まぁそんなとこ」

「ひどーい!」

「…ん、ココア」

「ありがとう…」

「もう機嫌直ってるし」






お腹を抱えながら笑う秦。

……失礼なっ。

プゥーと頬を膨らませて怒っていたら、





「……んな顔すんな//」





って言われた。

そっぽ向かれたし。

……そんなひどい顔になっちゃったかな?

癖だからどうしようもないんだけど……。