一途な彼女×浮気な彼氏


「ブラックとか大人だよね、ひまりちゃん」

「え、あ……うん…」

「ひまりちゃん?」







秦と皐と宇美は3人で仲良く話してるし。

…あたし…邪魔じゃないかな?

そうだよ…。

3人は…中学3年間同じクラスだったんだもん。

仲良くて当たり前。







「ねー、3人で話てんなよ〜」

「あっ悪い!中3のとき超ウケた話しあってさ!」

「…昔話も程ほどにってね」

「なんか言ったか?」

「べーつに。」







宇美と皐はまだ話してる。

…楽しそう。

あんな無邪気に笑う皐なんて知らないよ。

あんな優しそうに微笑む宇美なんて知らないよ。

――あたしの知らない人みたいだ。







「…っひまりちゃん!屋上行こう!」

「翠…く…」

「はぁ?翠独り占めしてんな。」







――違うの、秦。

翠くんは…あたしをここから出そうとしてくれてるの。

あたしもう……泣いちゃいそうだから。







「ひまりちゃん!行こ!」

「……翠くん…」






あたしも席をたつ。




――グイッ…







「さ…つき…?」

「どこ行くんだよ。」

「…屋上だよ。皐、手ぇ離せよ」

「なにひまりまた触られてんの」







確かにあたしは今翠くんに腕を掴まれてる。


……でもお願い皐。







「皐……手…離して…っ」

「……は?」

「ひまり!?」

「ひまりちゃんも言ってるんだから離したら?」

「…離さねーよ。」

「………皐…」







だめなの。

離して。

泣いちゃいそうなの。

もう……辛いよ。

心の中がぐちゃぐちゃ。

宇美に…嫉妬するなんておかしいよ、あたし。