一途な彼女×浮気な彼氏


「ひまりちゃんサイコー!」

「翠くんもなんで笑うのぉー!?」

「笑ってないよ〜」

「ひまり〜チョコ〜」

「はい秦!」

「おっ?…これ俺の好きなやつじゃん」

「買ったんだ!」

「……俺も、菓子」







さ、皐があたしにお菓子を催促してる!?

このあたしに!?

……とか言ってテンション上がったはいいけど、

皐の好きなお菓子なんか知らなくて。







「す…好きなのどうぞ?」

「…ひまりが、くれよ」

「……え、う、ん…」







どうしよう。

…秦と翠くんはなんだか怪しく笑ってるし。

宇美はまた新しく決めたターゲットとメール中だし。

今あたしを助けてくれる人は居ないと見た。








「今日は好きなのとっていいよ?好きなぶんだ…」

「ひまりから欲しいっつってんじゃん」

「……はい。」

「早く、しろよ」

「……こ、コレは?どう…かな…?」

「……ふーん?」







秦と同じ物を渡した。

…皐がお菓子食べてるところなんて見たことないし。

なんなら秦と同じにしちゃおう!みたいなね。








「俺……」

「……っ」

「チョコ」







嫌いって言う!?

だって知らないんだもん…皐の好きなお菓子。








「おしいな、ひまり。な、皐?」






不意に秦が言う。

おしい…?







「皐、チョコすきだよ」

「…えっ?」

「でも…」

「ブラックが好きなんだよ、皐は」

「せーかい、宇美」

「…俺は、ブラックチョコ派だ。」







皐の好きなものを知れて嬉しかった。

……でも。

それよりも、なんで宇美がそんなこと知ってるかわかんなかった。


宇美が彼女のように、思えてしまった。