「ひまりちゃーん♪」
「なに?翠くん」
「お菓子ちょーだい?」
「あっ、はい!」
「じゃなくて」
「……?」
翠くんにあげようと袋を渡そうとしたけど受け取ってくれない。
“じゃなくて”って?
このお菓子じゃないとか?
あっ、そっか!
翠くんが求めてるのはこのチョコかな!?
「あっそのお菓子でいいよ」
「え?じ、じゃあ…」
「あーん♪して?」
「あ、あ、あーん//!?」
1人プチパニックに陥るあたし。
あの恋人しか出来ない禁断の『あーん♪』を!?
……いや待って。
冷静に考えよう。
付き合ってないよ、あたしたち。
ん?だから、本来ならあーんする相手は皐だ。
だ、だめだっ!
あたしには翠くんにあーん出来ない…っ…。
「……翠、やめろ」
「なんだよ、皐ぃ〜」
「ひまりがパニックになってんだろ」
「ひまりちゃんごめんね!」
「ううん!あたしこそ…あーん出来なくてごめんね」
「……いやする気あったの?ひまり」
「え?うん」
「ひまりバカだろ!(笑)」
お腹を抱えながら笑う秦。
なぜか翠くんの顔はにやけてて。
……やっぱり皐は見ないどこう。

