一途な彼女×浮気な彼氏


「ふーんそっか。まぁでもいつか現れるんじゃない?宇美を丸ごと好きになってくれる人」

「翠……当たり前でしょうが」

「……は?」

「え?宇美?」







え?

今すごい感動するところだったよね!?

“翠……ありが…と…”

って泣いてもよかったところだったよね?

“当たり前でしょうが”

って……えぇぇえ!?

もうここまで来るとさすがとしか言いようがない。







「お前は……空気読めよ!」

「なに言ってんの。読んでるでしょうが、見本になるくらい」

「宇美……」

「ひまり!?なにその哀れんだ目は!!」

「…いや、かわいそうだなって」

「やっぱりひまりちゃんも思うよなー!」







そう言ってあたしの頭をクシャッとする翠くん。


――ドキッ…


み、翠くんってこういう行動慣れてるのかな?







「ひまり。それ翠がするのアンタくらいよ」

「……ん?」

「まっいーや……あ、皐に秦」

「……えっ」







今皐って言った?

しかも宇美の目線がすぐ後ろなんだけど…。

もっ、もしやあたしの後ろ!?







「いつまで無視してんだ、ひまり。」

「…あ、はは〜おはよ皐に秦」

「よっ、2人とも」

「「………」」







2人して翠くんを睨む。

翠くんも笑ってるけど目は笑ってない。

……3人ともこわいよ。







「ちょい!!ひまりいるんだけど!」

「あ?」

「ひまり、ごめんっ!」

「ひまりちゃんかーわい♪」

「「翠こら!!」」

「わっ、見苦し」

「ま、まぁ…座ろ?」







……はっ!

座ってもあまり変わらないじゃないか!

あたしの隣は皐だし、

前は秦だし、その隣は宇美で♪

通路はさんでのあたしの隣が翠くん。


……あたしイケメンと美女に囲まれてるよ。

やだなぁ…あたし目立つじゃん。

ブスが囲まれてるよって目線が…痛いよ。







……実際は、

「あのメンバーやばくない!?」

「わかる!でもさぁやっぱひまりちゃんカワイー♪」

「皐が彼氏って見た目ならわかるけど性格がさ…」

「なんなら翠くんとか秦くんよくない?」

「わかるっ」







これがみんなが見る理由。