「そ、そうか…。じゃあ」
「………っふぇ…」
階段を下ってく足音。
……嫌だよ。
泣きたくなんてない。
心が、痛いなんて思いたくない。
「うわぁぁあん…!!」
「ひまりっ…!!」
「…うぅ…し、ん…」
どうして、皐は来てくれないの?
いつも……どうして来てくれないの?
ギュって抱き締めて、
好きだよと……言ってくれればいいんだよ。
そしたらまだ信じられるの。
救われるのに――………。
「なんでまた…泣いてんだよ」
「秦っ……」
「泣かされんなよな」
「…もっ…やだ…」
「ん?」
秦が優しく抱き締めてくれる。
子供を宥めるようにポンポン撫でてくれる。
全部いつもしてくれるのは秦であって皐じゃない。
あたしはどうして皐を好きになったの…?
どうして秦じゃないの?
もうこんな事だって考えたくない。
皐だけでいっぱいになりたいだけだったのに。
そうしてくれないのは、皐。
いっぱいにしてくれるのは、秦。
「今はただギュってして…」
「ん。」
最低なのはあたしだ。

