――ガチャ…
「せんせ……は?」
「う、み…」
扉を開けたのは宇美だった。
失敗した。
……鍵を閉め忘れたと気づいた。
「翠ぃ…」
「待って?知り合いなんだ」
「は……知り合いねぇ…」
「誰なのぉ…?」
「別にアンタに名乗る必要ないし」
「翠…なんか怖いよ…」
「てか早くそこどけて。」
「は?」
「良いよ、入ってきて」
「あ、悪いな」
そう言って入ってきたのは男。
それも最近宇美の彼氏になった、やつだった。
俺の中のどす黒いなにかが渦を巻き始めた。
「大丈夫?…けが」
「宇美を庇って負った怪我なんて平気だよ」
「もう……でもありがとう」
俺の前で繰り広げられる会話。
こんな風に女の子な宇美なんて知らない。
……知らねぇよ。
てかなに他の男に触られてんだよ?
髪、触られてるけど?
なに赤くなっちゃってんの?
―――気に入らねぇ。
「んんっ…!」
だから俺は、宇美の前で女に無理やり激しくキスをした。
お前も妬けば良い。
……動揺すれば良い。
「…よしっ出来たよ」
「え、あ、ありがとう…」
「あとは包帯?巻かなきゃ」
「あ、う、うん…」
宇美は動じなかった。
逆に男が動揺していた。
だからもっと激しくした。
保健室中に俺と女の甘い水音が響いていた。
いや、響かせた。
「んーなかなか上手くいかないなぁ…」
「う、宇美…」
「んっ?大丈夫だよ、すぐ終わらせるから♪」
「いや…その…」
いくら響かせても動揺しない、宇美。
それどころか視界にも入れない。
……俺たちの存在を、消していた。
宇美の視界にはアイツしか映らない。
それにまた、苛立った。

