「てか、彼女いながら浮気する心理がわかんない」

「そんなに好きなんだね、お姉ちゃん!」

「なっ…ないでしょ!言ってるでしょうが!!」

「お姉ちゃん、明日連れてきてよっ」

「だから!手ぇ出すかもしんないんだって!」

「じゃあ、秦がいてよ」

「いや俺明日は部活行かなきゃなんねーわ」

「幽霊部員のくせにぃ〜」

「俺らは行かなくてもレギュラーなれんの」

「甘くみちゃだめだよ!みんなだってうまくなるんだから!」

「俺らを越えるやつがいたらそれは光栄だけど」

「ムッ…明日部活行くから!」

「は!?」

「てゆうかマネージャーなる!」

「いや危険だから!!」

「先輩たちだって最後なんだよ!?」

「冬があるって」

「でも、ちゃんとやろうよ!悔いが残ったまま卒業してほしいの!?」

「……なわけ」

「じゃあ、やろう!あたし明日からマネージャーなる!!」

「待って、会うのは?」

「今度の休み」

「…我が妹は時々冷たい」

「なに言ってるの?」

「まぁいーや。アイツにも話しつけとくわ〜」

「うんっ」










さぁ、明日からはマネージャーだ!!

皐にも翠くんにも来てもらうんだから!!











「てか明日はやっと委員会決めるだろ。」

「あっ…そうだったね」

「皐とやるんだって?」

「…うん、約束したんだ」

「マネージャーも委員会もやって体壊すんじゃねぇの?」

「…そんなこと…」

「ひまりは体力ないんだから、無理しちゃだめよ〜?」











酔っぱらいながらも的確なことを言うお姉ちゃん。


じゃあ…マネージャーをやめる?

それとも委員会をやめる?

――どっちも自分の決めた意見を覆してしまう。



どっちもやりたい。

それがあたしの望むこと。

でも確かに、あたしの体力じゃ持たない。










「…わかった。」

「え?」

「どっちもやれ」

「え…でも…」

「俺がフォローする。一応次期キャプテンなんだよね、俺」

「そうなの!?」

「そ。副は翠な。まぁ補佐としてもう1人は皐」

「やっぱり3人ともすごいね」

「そうか?まぁ俺らにライバルなんてそういねぇし」










さっきからなんかカチンとくる。

ライバルなんて世界を探せばいるに決まってる。

3人とも自分の才能に自惚れてる所があたしは好きじゃない。

俺を越える人なんていないって絶対思ってる。


才能はすごいと思う。

でも、努力してる人に敵わないって思うときが絶対くる。










「3人が部活行かなかった内にきっとみんな上手くなってるよ」

「…へぇ。」

「抜かされたって、あたし何も言わないから。」

「………」

「だって自業自得でしょ?」

「…なにが?」

「あたしも思ったぁ〜」










酔っぱらいながらも会話に入ってくるお姉ちゃん。


…だって当たり前でしょう。

お姉ちゃんも才能に自惚れてる所が少しある。

だから自分よりうまいサツキさんを見つけて弱くなった。


でもきっとサツキさんは才能じゃない。











「自分の才能に自惚れて練習もろくにしないから抜かされたんだもん。自業自得でしょ?」

「俺らが練習なんてしたら差が開くだけだ」

「それを優しさだと思ってるなら、まちがいだよ」

「………」

「俺も頑張んなきゃって周りに良い影響を与えられるのは、練習することだよ」

「……なんか、あたし…」

「お姉ちゃんも才能に自惚れてる所が少しある。」

「…やっぱり」

「うん。努力は叶うの。」

「…叶わねぇ努力もある」











また悲しそうな瞳をする。

切なげに瞳を伏せる。


……あるね、そういう事も。

恋も、同じように。

恋は叶わないことの方が多いんじゃないかって思う。