「楽に、なんのかなー…」
「は?」
ふと気がつけば声に出ていた。
浮気をやめたら楽になれるのかと。
ひまりと別れたら楽になれるのかと。
俺と別れたらひまりは楽になれるのかと。
そう考えればキリがない。
負のループだ。
「楽ってなに」
低く威圧する声。
強い瞳で俺を見据える。
……怒らした、かも。
翠の怒りを判断するのは難しい。
でもなんとなくその表情からは怒りと……戸惑いが感じられた。
「楽は、楽だろ」
「楽になんのかなって、なに」
「…別に」
「別れんの?逃げんの?」
「…っちげーよ」
「わかってるよ、お前にはそんなこと出来ない。」
「…チッ。何が言いてぇ?」
「お前はひまりちゃんを離すことなんて出来ない。」
「……っっ」
「だからと言って、浮気だってやめられない。…いやまだやめられない。」
図星ばかりつかれる。
俺の周りは鋭い奴ばっかだ。
……あー早く終わってくれないか。
この胸の、痛みと苦しみ。
わかってる。
どうしたら終わるのか。
「ズルいやつだからな、お前は」
「…うるせーよ。」
「楽になれるわけねーだろ。…恋してる限り」
そんなこと言う翠がなんだかカッコよく見えた。
……気がした。

