「…なんで、泣いてんの?」
「うぅっ……」
もう限界なのかもしれない。
皐の前で泣くなんて。
こんな風に我慢しきれないなんて。
――好きだなぁって思うことがもう辛い。
「秦ー…!」
「っんで…!」
「ふぇ…っ」
「なんで、お前が呼ぶのはいつも秦なんだよ…!」
「んん゛っ…!!」
無理やり重なる唇。
両思いじゃないキスはここまであたしを追い詰める。
……キスなんかしないでよ。
早く、忘れたいの。
優しい皐なんて。
甘い皐なんて。
良い皐を全部忘れて、嫌な皐でいっぱいにしてほしい。
そうしたら楽、になれるのに――………。
「やっ…!」
「……お前は…」
「え?」
「お前は俺だけ見ろ」
「な…に…それ…?」
「お前は俺だけ見てれば良いんだよ!!」
それはむちゃくちゃだよ、皐。
だってもうそうなんだもん。
あたしは今も、皐を好きになってから皐しか見てないもん。
皐しか見れなくなったんだもん。
……そうしたのは皐だよ?
皐しか好きになれなくなったのも。
皐にしかこんな風な思いしない。
――皐が、大好きだからあたしは辛いんだもん。

