「さっ…つき、まっ、て…」

「……なにお揃いなんか買ってんの?」








皐の瞳には不安と怒りが混ざってる。


……あたしがこんな瞳にしたの?

いつも透き通って吸い込まれちゃいそうな綺麗な瞳。

それをこんなに濁してしまった……?









「お前は誰の彼女なんだよ?」

「皐……だよ…」








皐のはずだよ。

あたしはまだ皐の彼女だよね?

まだ別れてないよね?

……皐に嫌われていても彼女だよね…?









「そうだよ。お前は俺のモンだ。」

「……っ」

「なのになんでお揃いとかつけてんの?」

「お前ら付き合ってんの?いつ俺ら別れたんだよ?」








“俺のモンだ”…前なら純粋に喜べたはずなのに。


今はどうしてこんなに胸が痛むのかな?


――わかってる。


それは皐があたしを好きじゃないって事を知ってるから。


痛いほどわかっているから。


どれだけ思っても皐は振り向いてくれないから。

同じ気持ちを、返してくれないから。




それでも側に居たくて、だからあたしは涙が零れる。








「あたしは秦と付き合ってなんかないよ」









こうやって誤解を解こうとしたって皐には関係ないことなんでしょう?



……ねぇ皐。

それがどんなに虚しくなるかわかる?

どんなに胸が痛くなるかわかる?










「わかってるよ。…秦の話はすんな」

「…どうして?」

「ムカつくから」

「……っ」









そんなの、勝手だよ。

皐のわがままだよ。


いつもあたしに女の子とあったこと話したりしてたのに。


あたしがするのはダメなの?

秦なのに?皐の親友との話でもダメなの?


ねぇ皐。


いっそ、あたしに嫌われてよ。


嫌いにさせてよ。


――お願いだから……。