いつだっけ…?
本格的に“あぁ好きだな”って思ったの。
今までしてきた恋愛じゃこいつには対応出来ないとも思ったし。
てか俺が唯一、本気になれたのがひまりだった。
「ちょっとトリップしてないでよ?」
「…ワリ。」
「思ってないだろ」
「つーかもうそろ授業…」
――ガラッ……
「授業始めますよ」
「……まり?」
「まりって?」
「今日から2週間教育実習に来ました。山田まりです」
「……まり、じゃん。」
「坂本くんは知り合い?」
「あぁーその…」
「幼なじみだったんです」
「…まぁ、そんなとこ」
まりは俺の幼なじみで、初恋の女。
初めて付き合った女でもある。
――お互いの“初めて”の相手でもある。
全然会ってねぇのに。
「じゃあ坂本くん後で山田先生の手伝いで数学準備室に行って」
「は?俺が?」
「えぇ。」
「いや、俺用事…」
「さっくん、お願い」
『さささっくん!!?』
翠も宇美もクラスのやつもみんなビックリしてる。
……つか呼んでんなよ。
さっくんとかお前ぜってー企んでるだろ。
「山田先生、いくら幼なじみでも発言には気をつけて」
「あ…ごめんなさい。坂本くん、よろしく」
「だから用事だっつってんだろ」
「坂本くんに拒否権はありませんけど」
「…チッ。」
なんだあのクソババア。
…なにが拒否権はねぇだよ。
あるだろ、人権尊重しやがれ。
つかひまりからいつ連絡くるかわかんねーじゃん。
「皐、ドンマイっ」
「…うざいくらい笑顔だな、てめぇ」
「え?だってまさかの四角関係になるかもじゃん」
「なんねーよ。」
「だってさっきからアイツ皐しか見てないし」
「は…?」
まりの方に目をやると、
――パチッ…
っていう効果音が合うくらい目があった。
いやいや、困るし。
まりとかもう昔の話だろ。
てか……アイツからフって来たんじゃん。
「てか、皐が浮気やめるかもしんないから笑顔なのっ♪」
「♪なんかつけて、似合わねーよ。」
「つくづく救えないわね、アンタ」
「なんとでもー。」
「わっちょ…髪ぐっちゃ…」
「わしゃわしゃしたんだからあたり前だ。」
「…おい、イチャつくな。」
「嫉妬かー?俺相手に?」
「坂本くん、静かにしよ?」
「お前山田先生に怒られてやんのー」
「うっせ。」
「髪ぐっちゃにしたから…」
「静かにしよ?」
「あれ?あたしも?」
「そう。授業は静かにね?」
そう言ってクスッと大人っぽく微笑むまり。
それはまぁ色っぽくて男どもは骨抜きにされた。
――俺と、翠以外な。