「そっか。…んじゃ眼鏡見に行こ?」
「うんっ」
「んじゃまずは飲み物買わねぇ?喉渇いてさ。」
「うん、あたしもっ」
「じゃー俺は…」
「秦はコーヒーでしょ?あたし買ってくるから待ってて!」
「…っ!」
今のは反則じゃねぇ?
なんで知ってんだよ、そんなこと。
あ゛ーっ!!
ダメだろ、そんなの。
「はいっ、コーヒー!」
「お、サンキュー」
「?…秦、ブラックじゃなかったっけ?」
「…いや、ブラックだよ」
「どうした――っきゃあ!!」
ごめん…ごめん、ひまり。
お前を困らせるつもりはなかった。
でも、限界だったんだよ。
不意討ち過ぎんだよ…なんなんだよ、お前は。
「し、ん…?」
俺の腕のなかで小さく俺の名前を囁くひまり。
――今は、俺が独り占めできる。
ずっとじゃなくてもいい、今だけ俺のモノでいて。
1番、最低で、自分勝手なのは俺かも知れない。
「ごめん……今だけだから。」
「……っ」
「今だけこうさせて…」
「……うん。」
静かに優しい声。
俺の背中に回されるひまりの腕。
……今だけはひまりが側で1番近くにいる。
「秦ー、溜め込まないでね?」
「ひまりに言われたくねぇよ」
「なによっ!…心配なのに…」
か細く囁やいたひまり。
うん、わかってるよ。
ひまりのこと伊達に見てたわけじゃねぇし?
側にいたわけじゃねぇし。
でもそこはやっぱり俺をたててよ。
男だし、俺。
“溜め込まないでね”とかお前に言える内容じゃねぇし。
「…ありがとな」
「…っ////ふ、不意討ち!!」
「は?」
顔を覗きこんで見てみればこう言われた。
――顔、真っ赤。

