一途な彼女×浮気な彼氏


「……ひまり?」

「………っ」

「ひまり?」








ずっと気づかなかった。

…悲しくさせてるのは、あたし。

秦を苦しませてるのはあたしなんだ。

なのにずっと秦を頼って甘えて。

あたしって何でこうなのかな…?

もっと早く気づきたかった。

そうしたら秦にこんな顔させなかったのに。

あたしは幸せになっていても、あたしは秦を幸せに出来てなかったんだ。








「…な、どうしたんだよ?」

「…ご、めんね…」

「ひまり?」

「あたし、が…」

「ひまり、泣くな。」







ギュッと抱き締めてくれる秦。

温かいぬくもり。

…でもこのぬくもりもあたしの胸をキューっとさせて。

苦しくて、痛くて。

あたしは大事な人を自ら苦しめていたなんて。

知りたくなかった、こんなこと。

でも知りたかった、早くに。

矛盾して、頭も心もいっぱいいっぱいで。








「…っ秦…」

「ひまり、イルカショー行こう?」

「…う、ん…」







ねぇ秦。

どうして秦はあたしといるの?

あなたを傷つけてるあたしと。

秦は何で傷ついてるの?

あたしちゃんと直すから。

…直すから離れないでいてほしい。

秦じゃなきゃ嫌だから。

抱き締めてわかる、ぬくもりも。

安心する腕の中も。

低く甘い声も。

――唯一あたしがあたしでいれるから。

皐のことを思って思う存分泣けるから。

皐を諦めていけそうな気がしてくるから。