「ひーまり」
「ドリア来てるよ!」
「お、うまそう♪」
「おいしいっ!」
目の前で幸せそうに微笑むひまり。
そんなひまりを見てると俺まで幸せになる。
「秦、泣いたの?」
「え…な、なに?」
「なんか目が赤いけど…」
「あーコンタクトずれて直してたらゴミ入ってさ」
「眼鏡でもよかったのに」
「眼鏡壊れたんだよ」
「あの黒いの?」
「そー」
眼鏡買って帰るか。
マジで壊しちまったし。
……母さんに怒られたし。
父さんは、
“別に眼鏡くらいいいだろ。壊せ壊せ”
と腹を抱えて笑っていた。
いやそれもどうなの?って感じだけど。
俺ん家でしっかりしてるのは母さんと俺くらいだし。
兄貴も父さんに似てどっか可笑しいし。
「じゃあイルカショー見たら眼鏡買いに行こう?」
「おー、悪いな」
「ううん、あたしも眼鏡見たかったから」
「…目、悪くなった?」
「うん…」
「まぁ仕方ないよな。」
「でも眼鏡好きだからいいのっ!」
「そっか」
「うんっ」
そう言ってフワリと微笑む。
ひまりの周りの雰囲気はふわふわしてて癒される。
本人ものんきだしな。
まぁそんなひまりだから助かった事も多々ある。
「ねぇドリア、美味しい?」
「うまいけど?」
「そ、そっかぁ」
「…ぷっ…」
「今笑ったでしょ?」
「食いたいんだろ、ドリア」
「…っだってドリアとオムライスで迷ってたんだもんっ!」
――知ってるよ、そんなこと。
だからドリア頼んだんだろ。
ひまりがどっちも食えるようにさ。
「一口、食べる?」
「いいの…?」
「…ん。あーん」
「あ、あーん…っ」
上目遣いをなんとか阻止したくて素早くあーんする。
……あの上目遣いの理性崩壊へのパンチ力。
ヤバイ。

