「オムライス、食べる」
「…ん。すいません、オムライスとドリア1つ。」
「はい、あとはよろしいですか?」
「あとココア1つ」
「かしこまりました。それではごゆっくりどうぞー」
「…ココアって…」
「ひまりのな」
「そんな…」
「いいじゃん。俺にも飲ませろよー?」
「うんっ!」
なぁひまり。
お前は皐とこれからも付き合っていくのか?
お前は皐以外は見てくれないのか?
――なんて、聞いても笑顔が消えるだけ。
そんなの嫌だから聞かない。
……聞きたくないだけだけど。
「ねぇ…秦の好きな人ってどんな人?可愛いの?」
「すっげー可愛いよ。」
「そうなんだぁ…」
「弱いくせに強がって、泣き虫で一途なんだ」
「そんな子いたかな…?」
「さぁな?…でもそいつに好きなやつがいるんだ」
「えっ……」
「だから、俺のことなんか見てくれねぇよ。」
「そ、っかぁ…」
“ひまりだよ”と言ったらびっくりする?
……困るよな。
現に真剣な顔で悩んでるし。
本当に俺って見られてねぇんだな。
「でもきっと見てくれるよ」
「え?」
「秦は優しくて頼もしくて面白くて気遣いが出来て、あたしの大事な人だもん」
「……っ!」
俺はきっと一生ひまりに勝ちっこない。
こんな笑顔で“大事な人”なんて言われたら好きなんて言えねぇよ…っ。
きっと俺は、ひまりの中の友達っていうカテゴリーから抜け出れない。
……でもそれでもいい。
友達としてでもこんなに好きな奴に思われてるなら。
“大事な人”だと断言してもらえるなら。
「ちょっとトイレ行ってくる」
「うんっ」
でもさ、ちょっとキツいわ。
ちょっとだけ、大好きな笑顔から逃げたくなった。

