今の俺はすっげーズルくて最低なやつだと思う。
でも今だけ俺だけを見てほしいんだ。
今だけでいい…。
「はい、これ」
「えっ…キーホルダー?」
「そ。今日の記念にさ」
「…ありがとう…」
「ピンクで良かった?」
「うんっ…アザラシ可愛い」
俺が上げたキーホルダーを見て微笑むひまり。
今だけはこの笑顔も俺だけのもの。
苦しい顔も泣き顔ももう見たくない。
……笑っていてほしいんだ。
なぁ…俺じゃダメ?って何度も言おうとした。
その度に引き止めるのは、ひまりの視線。
「しーんっ」
「あ、ごめん。…なに?」
「このキーホルダーお揃いある?」
「あ、あぁ。」
「じゃあさ、買おう!秦も!」
「え?俺も?」
「そう!お揃いにしようよ、記念なら!」
「……っ」
ひまりは時々笑顔で残酷だ。
――俺の気持ちに気づかないから言えるわけで。
お揃いにしたって2人でつけるわけにいかねぇじゃん。
「……買うか」
「うんっ」
でも、それでもいいと思ってしまう俺。
俺は、自分自身で自分を追い詰めてるんだ。
お揃いを買ったって皐に敵うわけじゃない。
ひまりの視線を独占し続けるのは皐から変わるわけない。

