でも言ってたじゃない。
“皐と同じ”って。
“男の子じゃなくて男だ”って。
あたしだって男の人なんだって意識してたはず。
――今更驚くことじゃなかったはずなのに。
でも秦の、瞳が悲しさと優しさの間で揺れ動いてる気がして。
でもあたしはなにも出来なくて。
「……うん。」
だから、今できる秦のお願いを聞こうと思った。
あたしは秦の言葉に頷いたんだ。
――♪〜♪〜♪
鳴り止まない着信が、あたしの胸を苦しくさせるけど。
今はそれよりも悲しさと優しさの間で揺れ動いてる秦を見る方が、
胸が痛いの――……。
まるで今のあたしのようで。
迷っているあたしがそのまま写し出されたような。
「じゃあ、回ろう」
「うんっ!じゃあニモから!」
「クマノミな」
「知ってますよーだ!」
「…ふっ意地張っちゃって」
やっぱり笑ってる秦を見たいと思うんだ、あたしは。
だからごめんなさい。
あたしは皐の電話には出れない。
あたしは今秦だけを見るから。

