一途な彼女×浮気な彼氏


――♪〜♪〜♪♪




「電話、ひまりじゃねぇ?」

「あ、あたしだ…」







この音楽は……皐だ。

今は学校のはず。…休み時間なのかな?







「出ないの?」

「えっ…あ、うん…」

「もしかして皐?」

「…う、んまぁ…」

「じゃあ出んな」

「へっ…?」







あたし今すごいまぬけな声が出たと思う。

で、でも出んなって…。

いつもの秦なら、

“出てあげな?心配するから”とか言うのに。

出んなって言われたことなかったし。







「…で、でも!」

「出ないで」

「……秦…?」







秦の悲しそうな瞳。

……やだよ、やめて。

そんな悲しそうな瞳を見たらなにも言えない。

そらすこともできないよ。








「でもメールだけでも…」

「なぁひまり」

「……っ」







いつもより低く、甘い声であたしの名前を囁く。

そんな声とは裏腹に真剣な瞳で。

頭は混乱する。








「今だけ俺を見て?」








そんな甘い囁きにあたしの顔は真っ赤。


……秦は、優しいお兄ちゃんみたいな人。

あたしの中で、さっきまでそう思っていた。

さっきまでの秦が、崩れてく。

あたしの知らない秦になっていく。