「………」

「本当に機嫌悪ぃな」

「…当たり前だろ」

「よくね?」

「よくねぇ」

「デートに行ったんだよ、あいつら」

「……デート?」







なんだよ、それ。

デートってなんだよ。

付き合ってる男女が行くもんだろ、それは。







「ひまりちゃんも合意の上だ。」

「ひまりが?」

「あぁ。あいつら朝早くから屋上に居たみたいだし」

「はぁっ!?」

「…っせーな。」

「デキてんのかよ」

「…デキてたとしてもお前なにも言えねーだろ」

「…彼氏…」

「浮気してるやつを彼氏だなんて思うやついると思ってんのかよ」







痛いところだな、そこは。

……思ってねぇよ。

でもひまりは…。

ひまりはあげたくねぇ。

譲れねぇんだ。







「…言っとくけど、ひまりちゃんの決断したことに俺らはなにも言わねぇから」

「…ひまりが…か」







ひまりが離れても仕方ないことを俺はしてる。

そんなのわかってるんだ。

――でも聞きたいんだよ。

“浮気しないで”って。

“あたしだけ見て”って。

自分勝手だよな、俺は。







「俺、教室戻るわ」

「……あぁ」







なんで俺は普通に愛せないんだろう。