こっちへ走ってくるカップル。
……カップル?
「離すなよー!」
「きゃあ!!」
「……ひまり?」
俺に気づかずに、横を走ってく秦とひまり。
繋がれた手だけがよく見えて。
赤くなってたひまりの顔も見えて。
……なんなんだよ。
なんで手なんか繋いでんだよ?
つかまだ授業も始まってねぇし。
2人で、サボるのかよ?
2人で。
――ガンッ…
勢いよく開けたドア。
クラスが静寂に包まれた。
……秦とひまりの荷物はない。
やっぱりサボるんじゃねぇかよ。
「荒れてますねー」
「…あ゛?」
「おー怖い」
「…あいつらは」
「見たわけだ?」
「…なにしに行ってんだよ?」
「知らねーよ。」
「サボりに行ったに決まってるでしょ」
「……宇美。」
「なに?」
「なんで行かせたんだよ?」
「2人で行こうってなってたし」
「…ふざけんな。ひまりは…!」
「俺の彼女とでも言いたいわけ?」
「宇美ー、お前は一旦外れろ。…皐、屋上行くぞ」
「………」
翠と屋上へ向かった。