「…仕方ないなぁ。翠、今日は特別ね」
「え?」
扉が開いて座り込んでた俺の背中に宇美の温もり。
「う、み…?」
「温もりに飢えてんでしょ?珍しいくらい彼女居ないもんね」
「…ちょ、待て…いや、え…?」
「なに。嫌なら離す…」
「離れんな」
「……翠?さっきから可笑しくない?大丈夫?」
宇美から抱きついてきたんだ。
何年ぶり?
――この感じだよ。
宇美だから、許せて安心できる。
飾らなくてもいい。
やっぱり俺には宇美しかいねぇや。
「なぁ宇美」
「なによ」
「…ごめん」
「……は?」
「あん時…」
「やめて。その話はもうしないって言ったじゃん。」
「………」
「それに今ごろでしょ」
そう。
俺は、謝っていなかった。
謝っても傷つけるんじゃないかとか。
何事もなかったかのようにしてればいいんじゃないかとか。
…結局逃げただけだった。
「…謝ってなかったから」
「謝る理由ないでしょ?あの時の翠はあたしのこと嫌いだったんだから」
「嫌い?」
「うん。噂になってたし翠だってあたしに冷たくなったし嫌いなんだなって思ってたよ」
「…なんだよ、それ」
「だからあたしが悪いの。そのこと知っててアンタに抱きつこうとしたんだし」
「……よ…」
「“うざいんだよ、いい加減。幼なじみ卒業しろや。いつまでもガキじゃねぇだろ”ってあたしを押したのよね」
「……ちげぇよ」
「だから、あたし翠のこと好きでいちゃだめなんだって思った」
「……は?」
「あたし中学の時、翠のこと好きだったんだよ」
待てよ。…なんだよ、それ。
中学の時“好きだった”?
俺も好きだったよ。…いや今でも。
じゃあ今は…?
なんなんだよ…あの時素直になっていれば…!

