「みーくんっ!」
「なぁに」
「うみおっきくなったらみーくんのおよめさんになる!」
「ぼくはきれいな人じゃないとけっこんしない」
「うぅ…」
「泣かないで、うみちゃん。うみちゃんは可愛いよ」
このときの宇美はすげー可愛かった。
いつも俺の後ろを付いてきて“およめさんになる!”って言って。
そんな宇美を冷たくあしらって優しくするのにはまっていた俺。
…このときからちょっと俺可笑しかったよな。
「宇美」
「…翠くん、話しかけないで」
「ちょっと…おい!」
「宇美ちゃんいいのぉー?“翠くん”呼んでるよ」
「っいいの!」
小学生の頃、突然宇美が俺を避け出した。
――俺と一緒にいると宇美はいじめられてた。
その事実に気づいたのは中学のころ。
おせーよな、俺。
あからさまに怯えていたのに。
宇美と話せるのは家だけになった。
「翠ー彼女呼んでるー」
「あしらって」
「はぁ!?なんであたしが!?翠がちゃんと処理しろ!」
「……あんなぁ」
「んっ、ダーリン来た♪じゃんねん、翠ー♪」
「…っそー」
中学になって学校でも話せるようになった。
俺が、女といるようになったから。
…宇美も彼氏を作るようになった。
セックスだってしていた。
俺の知らない宇美が増えていった。
その事実が嫌で、女を抱いた。
その度に宇美を思い出して。
ただ虚しくなるだけだった。
「あ、翠なんか今考え事してるみたいだから1人にしてくれって。」
「…ありがとう!」
結局宇美はうまく彼女をあしらってくれてた。
――イラついてた。
俺の彼女に平気で声かけれる宇美に対して。
俺は宇美の彼氏に対してなんだかジェラシーを感じていたのに。

