「……眩しいなぁー」
もう夏かぁ…。
雲ひとつない空。
それに反してあたしの心はどしゃ降りだ。
最近晴れた試しがない。
やだなぁ…いつになったら晴れるの?
虹が出るの?雨は止むの?
あたしはただ…平和に過ごしていきたいだけなのに。
涙なんか流す毎日とはさよならしたいのに。
どうしてもまだ出来ない。
「ひまり?」
「…っ皐……?」
「やっぱひまりは屋上が好きだよな」
「…っどうして?授業は?」
「あんなブスの授業なんか出なくていいんだよ」
「……皐」
「今はひまりを抱き締める方が先」
「……っ」
ねぇ皐。
皐は本当にズルいと思うんだ。
冷たいときはとことん冷たいのに、
優しい時は本当に優しくて。
冷たい時を忘れさせるほどのぬくもりを皐はくれちゃう。
……ズルい。
絶対嫌いになんてなれない。
突き放してくれたらいいのに。
突き放して罵ってくれたら、あたしは皐を嫌いになれるのに。
――そういうことをしないのが、皐なんだよね。
だからあたしは皐が好き。
大好きで…仕方ない。
「……っ」
「ひまり?」
「…なんでもないよ」
皐の制服をキュッと掴む。
こうやってずっと掴んでいれたらいいのに。
皐の心も全て。
――出来っこないのに。
何人が皐の腕に抱き締められたのかな?
あたしの安心できる場所はあたしだけの場所じゃない。
そんなのわかってる。
慣れた…慣れたの。
「…っ……」
「……ひまり」
慣れたつもりでいたの。
慣れたって自分に何度も言い聞かせた。
慣れたんだよって。
でも慣れるはずなんかなくて。
…ずっとずっと苦しかった。
胸の痛みも無視して誤魔化してきた。
だけど最近…無理なの。
もう誤魔化せないの。
もう……無視出来なくなってきてるの。