そのまま日向はフラフラと俺の方に向かってきたかと思うと、
俺の目の前で立ち止まった。


「…何か用か。」


まだ正気には戻ってないらしく、
何をしてくるか分からないので、
俺はとっさに身構えた。


すると、日向は俺を見上げて、
頬をぷくーっと膨らませて言った。


「さっきわらっただろ。」


「…は?」


俺は思わず気が抜けた←


何を怒ってるのかと思えば、
どうやらさっき俺だけ吹いたのが気に食わなかったらしい←


つーか、ガン無視してたくせに、
それだけちゃんと聞き取るってどうなんだよ。


笑われたから怒って、
怒り方は頬を膨らませるって…


普段の日向からは考えられない
可愛さだなとか思った事は
心の中に閉まっておこう←


そして、日向はそれだけ言って、
くるりと背を向けた。


何もなかったので、
はぁ…と安堵の溜息をした瞬間、


ヒュン!!


「な"!?」


俺の目の前を日向の足が横切った。


…つまり、回し蹴り←


どうやら、くるりと後ろを向いたのは、
回し蹴りをするためだったらしい←


…って、


「何で回し蹴りだ!?」


今避けてなかったら、
こめかみに当たって
下手したら気絶だぞ!?


俺が慌てて後ろへと下がると
やっぱりフラフラとした足取りで
こちらへと歩いてくる←


何で、フラフラしてるくせに
攻撃は動きが速いんだよ!?←


なんて考える暇もなく、


「日向!!やめ…っおわ!?」


間髪いれずに
日向は攻撃を仕掛けてくる←


しかも、すべて足技←


くるくると回りながら、
蹴りをいれてくる←


殴るという手段はないのか?
…いや、殴られたい訳じゃないぞ?


いつもの袴ならまだしも、
着物を着てるから、
殴る方が楽じゃないのか??


なんて考えながら、
日向の攻撃を避けていると、
ふと、気づいた。


「…つーか、誰か助けろよっ!」


ここにいる俺以外の幹部が、
俺を助けるどころか、
試合観戦している←


すると、


「あー、良い眺めだし、
そのまま頑張れ土方さん☆」


左之が酒を飲みながら
ある一点を見た。


「確かにいい眺めだな!」


ガハハ!と笑って、
新八もある一点を見る。


「…。」


平助、顔を真っ赤にして
一言も発さず←


何がだ…?
とその視線の先を追うと、


…。


「…お前らな…」


俺は顔を引きつらせた。


日向は今着物を着ていて、
攻撃のすべてが足技。
すると、
必然的に着物がはだけるわけで…


俺を攻撃するたびに、
日向の生足がチラチラと見えるわけだ。


…白くて細い足が。


……。


「…………。


…とりあえず、誰か止めてくれ!!」


「わー!土方さん、今の沈黙!良い眺めだって思ったでしょ!!日向!そのまま土方さんを抹殺しちゃえ★」


「…テメェなぁ…!」


…すいません。
正直、日向の足に魅入ってました。←


総司に怒りを覚えながらも、
完全に否定できない俺がいた←


「…!そうだ、斎藤!!」


あいつならそんなやましい事も考えないだろうし、強いから止められるだろ!


そう思い、斎藤を探すと、


「…何してんだ?斎藤」


斎藤は部屋の隅に移動していた←


「…副長、俺は…
遠慮しときます。」


…。


…前のがトラウマなのか←







「誰か助けろよ…」









俺ははぁ…と溜息をついた。