でも、どうしても忘れられない彼の顔が頭に浮かんだ。





瑠奈「あの、ありがとう…それから、」





とりあえず、お礼を言って好きな人がいると言う事を伝えようとした瞬間。





ガンッ!!!!!





男の子と私の間に彼が割って入ったのだった。

下駄箱が彼の拳によって大幅にへこんでいた。






【お前…何してるの?】


『えっ?……』


瑠奈「ちょ、ちょっと…」





あまりの剣幕にあわてて仲介に入ろうと彼の前に立つと、彼は私を見ないで告白してきた男の子を鋭く睨みつけていた。





いつも、穏やかな性格で、よく笑う彼はそこにはいなかった。





なんで…。

なんで、そんな顔するの…?





【…瑠奈に近づかないでよ…。警告してあげたのに…】


『わっ』





彼は小声でつぶやいた後男の子を思い切り突き飛ばした。





きゃあ!と周りが一気にざわつく。






瑠奈「や、やめてよ。」





そんな私の声も届かないのか、男の子の胸ぐらをつかんで顔を殴る。





『うぶっ』


【…僕以外が瑠奈に近づくなんて…許せない…】





周りがさらにざわめき出し先生を呼ぶ声もあがった。



彼は周りが止めるのも構わず無心に男の子の顔が変形するまで殴り続けた。




男の子の顔が血で赤く染まる。

彼の拳が男の子の血で赤く赤く染まる。





瑠奈「…いや…やめて…いや」





先生が到着し何とか彼を止めにかかっている。



コロンと何かが足元に飛んでくる。

チラッと視線を落した瞬間驚愕した。

それは、男の子の血に濡れた歯だった。





瑠奈「い、いやああああ!!!」