目からは、今にも涙が溢れそうだ。 「…じゃあ、真生くん後でね」 私は、そこまで言うと、階段を足早に降り、 玄関に向かう。 「あれ?紗綾ちゃん、もう帰るの?」 玄関で靴を履いていると、後ろから美生さんのそんな声が聞こえてきた。 けど、 「はい、先に帰りますね!おじゃましました」 私は、振り返らずにそれだけ言い残し、真生くんの家を後にしたのだった。