「それって、もしかすると……統合したのかな?」

「統合?」

「ああ。もう一人の“君”って、もういないんじゃないか? 呼びかけてみたらどうなる?」

「えっ? そうなの? 取り敢えずやってみるね」


と言ったものの、どう呼びかければいいんだろう? 前はどうしてたっけ……

全然ピンと来ないんだけど、頭の中で念じてみた。

『もう一人の私、いるなら返事して?』

と。


しかし何も聞こえて来なかった。というか、耳に聞こえるものだったのか、それさえも今となってははっきりしない。


「だめ。何も反応がないの」

「じゃあ、やっぱり統合したんだよ。つまり、解離してた人格が元の君に戻って一つになったんじゃないかな?」

「そうなのかなあ」

「寂しいかい? 言ってみれば、自分の分身がいなくなっちゃったわけだからね」


寂しい、かあ……

剛史さんにしてみればそういう感覚なのかな。私が二人いたようなものだから。でも、私にとっては私は一人なのよね。確かに人格が別れていたような記憶はあるのだけど、どちらも私であって、それは今と変わらないわけで……