【Talk:刹那】
テューロが居る独房に入って、
直ぐに違和感を覚えた。
「……何、これ。」
床に散らばった真新しいパンと、
割れたコップ。
その真ん中で
いつものように蹲る彼の頬に、
一筋の光が見えた。
泣いている。
そう気付いた瞬間、
彼が何を しようと しているのか、
理解した。
「テューロ!!」
慌てて叫ぶと、
テューロは のろのろと顔を上げた。
汗で額に張り付いた蒼い髪。
生気が宿っていない銀の瞳。
其処から流れる透明な涙。
口から溢れる赤い鮮血。
「辞めてっ!!」
駆け寄って肩を掴んで揺すぶると、
彼は首を横に振った。
次いで口に力を込めたのだろう、
彼の顔が苦痛に歪み、
あたしの頬に血が飛んだ。


