「待たせた。行こうか」
着替えを終えた門川君が襖を開けて出てきた。
着流しから羽織袴に着替えている。
上下とも薄墨色の、無地で質素な出で立ちだけど、門川の紋が染め抜きで入っている。
生地がまぁ、上品に艶光りして綺麗なこと!
門川君てホント、こういう抑え目な和服が似合うんだよねぇ。
顔が見事に綺麗な分、衣装は控えめな方がいいのよね。
ほれぼれしちゃうよまったくもう。
門川君を先頭に、廊下を進んで行った。すると・・・
「当主様、しばしお待ちくださいませ」
前方に袴姿のオヤジ達が数人、廊下の真ん中に陣取って待ち構えていた。
絹糸が「来たか・・・」と小さく息を吐く。
門川君は無表情で歩みを止めた。
「端境の一族の元へお出ましになるとの事、聞き及びました」
「なりません! なりませんぞ当主様!」
「さあ、お部屋にお戻りを。当主様には一刻も早く奥方を決めていただかなければ」
やいのやいのと言い募り、門川君を部屋へ戻そうとする。
あたしは心の中で溜め息をついた。
だーかーらー。
嫁選びよりも、こっちの方がよほど大事でしょうが。
あんたらの優先順位って何が基準なのよ。
そんなに見たいか。自分の娘の花嫁姿が。
「僕は、行く必要があるから行くと言っているのだ」
それに対して門川君はあくまで淡々と返答する。
その堂々とした大人びた態度が、あたしにはとても頼もしく見えた。
でも袴オヤジ軍団は、そんな彼を一笑に付す。
着替えを終えた門川君が襖を開けて出てきた。
着流しから羽織袴に着替えている。
上下とも薄墨色の、無地で質素な出で立ちだけど、門川の紋が染め抜きで入っている。
生地がまぁ、上品に艶光りして綺麗なこと!
門川君てホント、こういう抑え目な和服が似合うんだよねぇ。
顔が見事に綺麗な分、衣装は控えめな方がいいのよね。
ほれぼれしちゃうよまったくもう。
門川君を先頭に、廊下を進んで行った。すると・・・
「当主様、しばしお待ちくださいませ」
前方に袴姿のオヤジ達が数人、廊下の真ん中に陣取って待ち構えていた。
絹糸が「来たか・・・」と小さく息を吐く。
門川君は無表情で歩みを止めた。
「端境の一族の元へお出ましになるとの事、聞き及びました」
「なりません! なりませんぞ当主様!」
「さあ、お部屋にお戻りを。当主様には一刻も早く奥方を決めていただかなければ」
やいのやいのと言い募り、門川君を部屋へ戻そうとする。
あたしは心の中で溜め息をついた。
だーかーらー。
嫁選びよりも、こっちの方がよほど大事でしょうが。
あんたらの優先順位って何が基準なのよ。
そんなに見たいか。自分の娘の花嫁姿が。
「僕は、行く必要があるから行くと言っているのだ」
それに対して門川君はあくまで淡々と返答する。
その堂々とした大人びた態度が、あたしにはとても頼もしく見えた。
でも袴オヤジ軍団は、そんな彼を一笑に付す。


