「こりゃ、赤子でもあるまいに、いつまでもぴぃぴぃ泣くでないわ見苦しい」


オイオイ大泣きしてるあたしの耳に聞こえる、皮肉な声。

いつの間にか足元に座り込んでいる絹糸に、あたしは鼻をグスグスすすって答える。


「絹糸、回復できたの? 体はもう大丈夫?」

「命に別状ない程度には回復した」

「しま子と凍雨君は?」

「なにしろあの状態じゃからの。いくら永久といえども、まだ当分時間がかかる」


門川君は治癒の術を黙々と発動し続けている。
白い大きな光が煌々と輝いていた。


「塔子やお前も回復が必要じゃ。端境当主よ、あの状態のままで塔子を運べるか?」

「はい。できまする」

「では頼む。塔子を永久の術式まで運ぶのじゃ」


マロの結界術に包み込まれた塔子さんの体がフワリと宙に浮いて、ゆっくり門川君の方へと移動していく。

良かった。これで本当に塔子さんも助かる。

本当に本当に本当に、良かった・・・!


塔子さんを運んだ後に、マロがあたしをおんぶして術式まで運んでくれた。

本当はお姫様抱っこをしようとしたんだけど、マロの腰があたしの体重に耐え切れず、そのまま前のめりに突っ込んで転んでしまったんだ。

・・・ちょっとショック。
でも、あたしの体重のせいじゃないからね!

門川君はあたしの事、ちゃんとお姫様抱っこできたもん!

マロが外見通りにひ弱なせいだよ。
見た目そのままな人だなぁ、マロって。ほんと読みやすいタイプだ。


門川君の治癒の光に包まれて、あたしはやっと安堵の息を吐いた。

あぁ~ 生き返るぅ~~。
全身の細胞レベルが回復して活性化しているのが分かるぅ~。

なんと言うか、隅々まで綺麗にしてもらっているというか。

極楽、極楽~。この感覚は、言葉では表現しきれないよ。