突然、目の前に白以外の色彩が浮かんできた。
それに目を奪われあたしは足を止める。
なんだろう・・・あぁ、あれは・・・
雛型、だ。
そこに雛形が居た。
雛型が、凄まじい吹雪の中を風に吹かれて立ち尽くしていた。
なぜかこの広大な空間の中で、彼女の周りにだけ猛吹雪が吹いている。
長い黒髪と朱色の衣装が風雪に煽られ、激しく乱れて舞っていた。
そしてその足元に・・・
半分、雪に体が埋もれてしまった状態で誰かが倒れていた。
雛形は、荒れ狂う空を呆然と見上げている。
両目から滂沱の涙を流し、混乱と、極限に満ちた顔で、天から降る悪魔のような雪を見つめている。
祈るように何かに懇願する目には、狂気の光が垣間見えた。
これは、この光景は・・・
雛型が、選択した瞬間だ。
世界よりも夫の命を救う選択をした、運命の一瞬だ。
この世界にとって、そして雛型にとっての運命の時間。
まるで一枚の絵のように、その光景は純然とそこに存在していた。
し続けていた。
そこから、時間が進まない。
この空間は雛型が決意した瞬間から、一秒たりとも時間が進もうとも戻ろうともしていない。
絶望と極限と、狂気を湛えた表情のまま、雛型は永遠と立ち尽くし続けていた。
自分が決断した瞬間を、世界の破滅を選んだその時を。
永い永い長い時間、ずっと、雛形は・・・
千年、ここで思い知り続けていたのか。
罪を償いながら・・・・・
己を責め続け、泣き続けて。
絶え間なく流れ続ける雛型の涙を見るあたしの目にも、涙が浮かんだ。
それに目を奪われあたしは足を止める。
なんだろう・・・あぁ、あれは・・・
雛型、だ。
そこに雛形が居た。
雛型が、凄まじい吹雪の中を風に吹かれて立ち尽くしていた。
なぜかこの広大な空間の中で、彼女の周りにだけ猛吹雪が吹いている。
長い黒髪と朱色の衣装が風雪に煽られ、激しく乱れて舞っていた。
そしてその足元に・・・
半分、雪に体が埋もれてしまった状態で誰かが倒れていた。
雛形は、荒れ狂う空を呆然と見上げている。
両目から滂沱の涙を流し、混乱と、極限に満ちた顔で、天から降る悪魔のような雪を見つめている。
祈るように何かに懇願する目には、狂気の光が垣間見えた。
これは、この光景は・・・
雛型が、選択した瞬間だ。
世界よりも夫の命を救う選択をした、運命の一瞬だ。
この世界にとって、そして雛型にとっての運命の時間。
まるで一枚の絵のように、その光景は純然とそこに存在していた。
し続けていた。
そこから、時間が進まない。
この空間は雛型が決意した瞬間から、一秒たりとも時間が進もうとも戻ろうともしていない。
絶望と極限と、狂気を湛えた表情のまま、雛型は永遠と立ち尽くし続けていた。
自分が決断した瞬間を、世界の破滅を選んだその時を。
永い永い長い時間、ずっと、雛形は・・・
千年、ここで思い知り続けていたのか。
罪を償いながら・・・・・
己を責め続け、泣き続けて。
絶え間なく流れ続ける雛型の涙を見るあたしの目にも、涙が浮かんだ。