何気なくサラッと言ってしまうくるみはすごい……。 私で聞こえたんだから、上原君には絶対に聞こえていたはず。 「……今みたいなのズルいだろ」 「え?」 ポツリとつぶやいた上原君。 私が聞き返すと、ごまかすように彼はハハッと笑った。 「何でもない。んじゃ、藤波さん、またな」 「藤波さん。暑いから帰りも気を付けて」 上原君が言うと、涌井君が手をあげて言った。 「あ、涌井君!明日、頑張ってね!」 「……もちろん」 私の言葉に、涌井君はフッと笑ってくれた。