唇が、覚えてるから


『笑えるほど立ち直り早ぇの。それに…スッゲー笑顔が可愛いんだ。怒られたって全然へこたれてないし、患者さんともスッゲーいい笑顔で接しててさ…』

『って、ナースかよ!』

『いや、実習生。この時期の実習生は桜杜か嶺西。でも俺の勘が正しければ桜杜だな』

『どうして分かんだよ』

『嶺西の実習生はそんなへまやらかさないだろ?』



流さないと決めた涙が、一筋零れた。


祐樹が……私を見ていたなんて……。



『名前は?』

『わかんねー』

『そんくらい聞けっつーの。ナンパして来いよ。どうせタメだろ?』

『実習生ナンパとかあり得ないだろ。仮にも俺達医者目指してんのに……』