唇が、覚えてるから


落ち着いた心で祐樹を見つめる。

もうこれで最後かもしれないのに、私は何故か穏やかだった。


祐樹とのことを振り返ると、それは全部眩しい日々で。

最悪な出会いも。

中庭で毎日話したことも。

デートも。


そして

悲しい運命は。

……祐樹が全部消化してくれたから。


「ありがとう……」


だからきっと、私は何度でもこの言葉を言うだろう。


「祐樹、大好きだよ」


頬と頬が触れ合う距離で。

静かに言葉を落とした。