唇が、覚えてるから


「君は、祐樹の………」


確かめるように、ゆっくり問いかけるお父さんに。

私は自信を持って深く頷いた。

"彼女"

祐樹には認めてもらってないけど。


───いいでしょ?祐樹……。


「私、実習生としては全然だめなんです。へまばっかりするし、怒られてばっかりで。

でも祐樹君だけは私を認めてくれて。頑張れよって、お前なら出来るって。いつも励ましてくれていたんです……」


祐樹の言葉を思い出せば出すほど、つらくなる。

自分の運命を理解したうえで、私の為に言葉をかけてくれていた。


こんな私を選んでくれて。

そうやって励ましてくれていたんだよね。

だから私、頑張れたの……。


「祐樹君と過ごした時間は短かかったけど、私にとってはかけがえのない人で、大切な、とても……とても大切な人なんです」